
神籬の内
第1章 荷物
(なんて怪しい依頼なんだろう……)
思わず心の中で呟いた。
「何でも屋をしておられるとお聞きしましたので、でしたらお願いしようかと思った次第です。もちろん無理でしたら、今お断りください」
穏やかな笑みを崩さずに告げられる言葉。まっすぐに見つめてくるペリドットグリーンが、細くなると笑みを一段と深めた。
(確かに怪しい依頼なんだけどぉ……! 荷運びで、前金3万に成功報酬に残り7万…………)
すごく考えて唸りもしたが、ただ静かに返答を待つ相手に覚悟を決めた。
「わかりました!お引き受けいたします」
覚悟を持っていう晃に、彼は穏やかな笑みのまま頷く。着物の裾を払い、これが所作かぁと思う優美さ。音を立てないで歩くことに関心する。そのまま表玄関を出た。
角を曲がって少し進むと、洋館風の家には似つかわしくない倉がどどんと立っている。違和感が半端ないと、心底思ってると彼は蔵の鍵を開けて扉を開けた。
「では荷物をお見せします」
「お家と、合ってませんね!?」
素直な感想が思わず出るほど、馴染んでいない組み合わせに思わずツッコミをいれてしまった。
「すいません、蔵は父の趣味なんですよ。和風建築がひとつ欲しいと駄々こねまして。家に畳の部屋を三つ作ったので十分だと思ったのですが……」
「あ、もしかして町内会長さんって御父上ですか?」
「ええ、父です。俺がするにはさすがに若いです」
最初の藏の説明では気恥ずかしげだったが、晃の勘違いにくすっと笑い小首を傾げる。所作に惹かれるとはこういうことか! と内心で叫んだ。そのまま藏の中に入ると、一目で視線が寄せらえる奇麗な箱があった。
「奇麗な箱ですね?」
7㎝×9㎝×4㎝の寄木細工の箱に見える。木目が黒く鈍色い美しいのに、歪んでいると感じて甘い匂いと、よく分からない臭いで気持ち悪くなる。一瞬、ほんの瞬きに錯覚で、鬼が吠えるのを見えた気が――。
「なんか幻聴聞こえた……耳鼻科行ってみっか」
ちょっと驚いた気がしたが、気がしただけだった。
現にm気分が悪くなることもなく立っている。彼も隣からそっと手を伸ばして、晃の襟を苦しくならないように、もう片手を添えて後ろへと一歩退かせた。
「臭いは嗅いだら、吐くからおすすめしない。もう遅いかも知れないけど……」

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