テキストサイズ

あの2人って、仲いい思春期だね。

第1章 ピザって10回言ってみな。


「ミユ!どこにいるんだよ?」

岡田誠は、夕日が差し込む図書館で幼なじみの名を呼んだ。

「ここだよぉ、まこちゃん!」

まのびした、甘い声が古い本の臭気を放つ本棚の向こう側から聞こえてくる。

誠は、小さなため息を吐いて、16年間可愛らしいワガママで自分を振り回してきた高崎ミユの元に向かう。

「そろそろ帰ろうぜ…」

「あと少し探してから!」

ミユは、兄から借りてこいと頼まれた本を探しているのだ。

「なんで俺まで…」

「お兄ちゃんが、2人で探せって言うんだもん」

ミユは、廃棄予定の本の山に顔を突っ込んだまま、 誠の問いに答える。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ