あの2人って、仲いい思春期だね。
第1章 ピザって10回言ってみな。
ミユは自他共に認めるブラコンだった。
「おい!そろそろ6時になるぞっ!」
誠は、図書館から見える憩いの広場の錆びた文字盤をちらっと見て、ミユをせかす。
「ハイハイっ…ケホッケホッ!」
ホコリまみれになり咳き込むミユを見て、誠は半ば呆れながらも、ミユの執念に感心していた。
「ここら辺に絶対あるんだろーな?」
「…多分!」
二つ結びがチャームポイントのミユが、その小さな尻尾を揺らしながら、ガッツポーズを決める。
誠は、二重でまつげが長く、パッチリお目のミユの可愛らしい流し目に、自分でも殺られたと思いながら、足元に散らかった古本の束を足で避けた。
ガツンッ!
「いってぇ!」
誠の足の小指になんともいえない、激痛が走った。
「こ、こゆびっ…!」
誠が痛みを噛み締めている間、ミユは足元にしゃがみこみ
「あったぁ!これだよぉ!まだ痛いのぉ?足の小指って鍛えられないもんねぇ」
他人事のように、いや他人なのだが、自分のことを全く心配する様子がないミユに、誠はふつふつと怒りが沸いてきた。