My Godness~俺の女神~
第6章 ♯Conflict(葛藤)♯
「そう。なら良かった。親は大切にしなきゃ駄目よ。うちのドラ息子なんて、この間、いきなり女の子を自宅にまで連れてきて、大騒動だったのよ」
悠理は眼をわずかに見開いた。この女が普段、どのように過ごしていようが興味などさらさらないが、同年代だという息子には幾ばくかの興味がある。
「そうなんスか。何か揉め事でも?」
実沙は憮然として言った。
「どこの馬の骨とも知れぬヤンキー女を連れてきてね。話を聞いていたら、何とキャバクラ勤めの水商売をしている女だっていうじゃない」
そのなにげない言葉には、隠しきれない侮蔑の響きが込められている。
悠理は内心、毒づいた。
手前の方こそ良い歳をして息子と同じ歳のホストに入れ込んでるのに、その言い草はねえだろう?
「もう、髪の毛なんて、あなた日本人なの? って訊きたくなるくらいの金髪で、爪なんかは真っ赤っか。見ているだけで背筋が寒くなったわよ。あんな娘をうちの嫁にだなんて、とんでもない。うちの子はきっと世間知らずで女なんてろくに知りもしないから、あの女に騙されたんだわ」
そういうあんたの方こそ、五十にもなって爪をピンクに染めてるじゃねえか。その方がよっぽど見苦しいんだよ。
悠理は心の叫びはおくびにも出さず、神妙に頷いた。
「実沙さんもご心労が絶えませんね」
「ああ、そう言って判って貰えるのは悠理クンだけね。亭主は言うのよ。好きになってしまったものは今更どうしようもないんだから、諦めろですって、冗談じゃないわ。私はあんな破廉恥な女、藤堂家の嫁にだなんて、絶対に認めませんからね」
実沙がピンクのスーツのポケットからシガレットケースを取り出す。もちろん、これもブランド物だ。煙草を一本摘んで銜えるのに、悠理はさっと脇からライターを出して火を付けてやった。
「最近ね、また煙草を始めたの。息子を生むのをきっかけに長い間、止めてたはずなんだけどね。どうもやりきれないことが多くて、煙草でも吸わないと苛々してやってられない」
悠理は眼をわずかに見開いた。この女が普段、どのように過ごしていようが興味などさらさらないが、同年代だという息子には幾ばくかの興味がある。
「そうなんスか。何か揉め事でも?」
実沙は憮然として言った。
「どこの馬の骨とも知れぬヤンキー女を連れてきてね。話を聞いていたら、何とキャバクラ勤めの水商売をしている女だっていうじゃない」
そのなにげない言葉には、隠しきれない侮蔑の響きが込められている。
悠理は内心、毒づいた。
手前の方こそ良い歳をして息子と同じ歳のホストに入れ込んでるのに、その言い草はねえだろう?
「もう、髪の毛なんて、あなた日本人なの? って訊きたくなるくらいの金髪で、爪なんかは真っ赤っか。見ているだけで背筋が寒くなったわよ。あんな娘をうちの嫁にだなんて、とんでもない。うちの子はきっと世間知らずで女なんてろくに知りもしないから、あの女に騙されたんだわ」
そういうあんたの方こそ、五十にもなって爪をピンクに染めてるじゃねえか。その方がよっぽど見苦しいんだよ。
悠理は心の叫びはおくびにも出さず、神妙に頷いた。
「実沙さんもご心労が絶えませんね」
「ああ、そう言って判って貰えるのは悠理クンだけね。亭主は言うのよ。好きになってしまったものは今更どうしようもないんだから、諦めろですって、冗談じゃないわ。私はあんな破廉恥な女、藤堂家の嫁にだなんて、絶対に認めませんからね」
実沙がピンクのスーツのポケットからシガレットケースを取り出す。もちろん、これもブランド物だ。煙草を一本摘んで銜えるのに、悠理はさっと脇からライターを出して火を付けてやった。
「最近ね、また煙草を始めたの。息子を生むのをきっかけに長い間、止めてたはずなんだけどね。どうもやりきれないことが多くて、煙草でも吸わないと苛々してやってられない」