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My Godness~俺の女神~

第6章 ♯Conflict(葛藤)♯

 あの女は良かった。こんな枯れかけたオバさんとは段違いだ。早妃と入籍するまでは、結構な数の女と関係を持ったが、玄人の風俗嬢でも、あれだけの良い身体をした女は見たことがない。胸もみずみずしく豊かで、膚には吸い付くような柔らかさと張りがある。あそこもほどよく締まっていて、俺が突いてやると、切なげな吐息を洩らした。
 考えただけで、身体の芯が熱くなり硬くなる。あの魅惑的な肢体を思い出しただけで、身体が疼いて堪らない。あれから何度も、実里を待ち伏せて、どこかのホテルにでも連れていこうかと考えた。
 だが、その度に、馬鹿げた自分の思惑に気づき、呆れた。あれは復讐のためにしたことで、何もあの女の身体が欲しくてやったわけではない。
 あの女の豊かな乳房や淡い茂みの奥に秘められた蠱惑的な狭間を思い出す度に、何故か、あのときの女の表情まで浮かんでくる。彼の巧みな愛撫によって上り詰めるときの表情も
切なげで良かったが、何故か、初めて彼を迎え入れたときの涙を滲ませた顔や破瓜の痛みを訴えるときの縋るような瞳の方が強く印象ら残っていた。
 馬鹿な。あの女は俺の早妃を轢き殺した仇だぞ?
 自分に言い聞かせるが、それ自体がはや尋常ではないのだと自分でも理解はしていた。更に一日の中に何度も似たようなことを繰り返し考えている自分に思い至り、愕然とするのだ。
 俺は何故、あんな女のことばかり考えている?
 今もまた、いつもの思考パターンに引き込まれそうになり、悠理は慌てて自分を戒めた。
「今度は必ず。俺も辛いんですよ。実沙さんをこうやって腕に抱きながら、何もしないで見送るのは地獄です」
「悠理クンが我慢してるんだものね。私も耐えなくちゃ」
 実沙は悠理の上辺だけの態度と言葉に騙されていることに気づいてもいない。
「それじゃ、気をつけて。一ヶ月後、お待ちしてます」
 フロントまでは見送らないのは暗黙のルールだ。もちろん、人眼につく怖れがあるからだ。
 部屋の入り口まで行くと、いきなり女が背伸びして悠理に抱きついてきた。悠理は女の未練に辟易したが、やはり女を引き寄せ強く抱きしめた。

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