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My Godness~俺の女神~

第6章 ♯Conflict(葛藤)♯

 この店にはなかったが、他の似たようなホストクラブでは、以前、本気になりすぎた客が家も何もかも棄ててホストの許に押しかけたことがある。
 しかし、ホストがすげなく突き放したため、一旦は帰った女性は再び今度は刃物を持って店に現れた。大騒ぎの中、女性はホストを刺し殺し、自分もその場で胸を貫き、後を追った。事件当時は週刊誌などに〝中年女性の純愛、ホスト狂いの真相!〟などと題して、面白おかしく書き立てられ話題になったものだ。
「別に向こうが勝手に燃え上がってるだけだ。やっぱ、アフタに行ったのがまずかったかな」
 悠理は眠そうに眼をこすった。
「これ以上、くだらない話を続けるつもりなら、出てってくれないか。俺は疲れてるんだ」
「これ以上、犠牲者を増やすつもりか?」
「犠牲者? 人聞きの悪いことは止してくれ。俺はお前流の言葉で言うなら、藤堂実沙に夢を与えてやってるんだ」
 と、柊路がつかつかと歩いてきて、悠理の胸倉を掴み上げた。
「貴様、一体、あの子に何をした?」
「あの子? あの子もこの子も色々いるから、さっぱり見当がつかねえな」
 冗談を言ったつもりで、一人へらへらと笑った。しかし、柊路はにこりともしなかった。
 陽に焼けた男らしい顔が怒りに燃えていた。
「名前を言わなければ、判らないのか? それなら教えてやる。入倉実里だ」
「入倉―実里」
 悠理はぼんやりと呟いた。
「彼女に何をした、言え!」
 柊路は鬼気迫る形相で迫った。
 そこで悠理は開き直った。
 そうさ、俺は別に悪いことをしたわけじゃない。当然のことをしたんだ。俺の早妃と赤ん坊を殺した憎い女に制裁を加えてやったんだ。なのに、誰が俺を責める権利があるっていうんだ?
 悠理は悪びれもせずに言い放った。
「レイプしてやった。良い身体してたぜ、あいつ。バージンだったみたいだけど、俺、最初は気づかなくてさ。前戯もなしにいきなり突っ込んでやったら、痛かったらしくて酷く泣かれた。けど、そのときの泣き顔もまたそそられる。俺は余計に熱くなっちまって、やりまくってやったんだ」

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