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My Godness~俺の女神~

第6章 ♯Conflict(葛藤)♯

 柊路は両脇に垂らした拳をわかかなせていた。
「お前は自分のしたことの意味を判ってるのか?」
「ああ、判ってるさ。俺は早妃を轢き殺した憎い女に正義の鉄槌を下した。ただ、それだけのことだ」
 悠理は平然と言葉を放った。
「良い子じゃないか。何で、そんなことをしたんだ」
 柊路が振り絞るように言った。
 悠理が呆れて鼻を鳴らした。
「柊路、まさか、お前、あの女に惚れたのか?」
 ククと耳触りな笑声を上げた。
「こいつは良い。レイプされた女とホストの純愛か。お似合いすぎて、涙が出るな。週刊誌にネタ売ったら、さぞかし歓んで飛びつくだろうよ」
 ひとしきり笑ってから、悠理は柊路にグイと顔を近づけた。
「おい、俺が今、何を考えてるか教えてやろうか」
「お前の心の中なんて知りたくもない」
 柊路が顔を背けるのに、悠理は邪悪な美しい笑みを端正な面に浮かべる。
「あれから俺は一度も、入倉実里に手を出しちゃいない。だが、頭の中でなら、一日に何度、あの女をレイプしているか知れたものじゃない。あいつの身体はグラビアアイドル並か、それ以上だ。一度抱けば、お前だって、その味が忘れられなくるだろう。いっそのこと、あの女を服従させて、一生、俺の側に縛りつけておいてやっても良いんだ。いつでも俺が望んだときに身体を投げ出す性の奴隷にしてやれば、完璧な復讐になる」
「―止めろ」
 柊路が呟く。しかし、悠理はなおも滔々と続けようとした。
「お前は綺麗事を言っているが、あいつとヤリまくってみれば、考えも変わるさ」
「止めろと言ったら、止めろ。そのお喋りな口をすぐに閉じないと、後悔することになるぞ」
 柊路の拳がついに悠理の頬に飛んだ。
「貴様の―貴様が彼女にした酷い仕打ちのせいで、彼女が今、どんな状態になってるのかをお前は知っているのか!?」
「俺の知ったこっちゃないね」
 悠理は殴られた頬をさすりつつ、あらぬ方を向いた。

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