My Godness~俺の女神~
第6章 ♯Conflict(葛藤)♯
事故を起こしたことで、折角、抜擢された新しいプロジェクトのメンバーからも外されたんだぞ」
「それが、どうしたっていうんだ。早妃と赤ん坊は死んじまったんだ。生命を失うのに比べたら、その程度のことは痛くもかゆくもないだろ」
「お前ってヤツは」
二度目の拳が来た。今度は悠理も大人しくはしていなかった。やられっ放しではなく、柊路の頬を殴り返した。
「恥知らずな貴様の友達でいることが恥ずかしいよ」
「それは、こちらの科白だ。お前はあの女が俺の女房と子どもを轢き殺した張本人だと知った上で、のぼせ上がったんだろうが」
「俺は彼女の人柄や生き方に惚れたんだ。それをお前にとやかく言われる筋合いはない」
上になり下になりと揉み合いながら、二人の男はどちらも負けない大声で怒鳴り合った。
上になった柊路の振り上げようとした拳がふと力なく降りた。
やりきれない声が洩れた。
「悠理、―彼女、妊娠してるぞ」
その言葉に、悠理はハンマーで脳天を一撃されたように思えた。
「あの女が―妊娠?」
悪い夢を見ているようだ。
悠理は無理に笑おうとした。
「どうせ、どこかの男と愉しんだんだろうよ。一度ヤラレちまえば、後は何回やろうが、同じことだからな。まさか、相手はお前じゃないだろうな」
柊路が悠理を烈しい眼で睨んだ。
「お前、もう一発、殴られたいのか?」
悠理は愕然としていた。
そう、そんなはずはない。あの女は俺にヤラレるまではバージンだったのだ。二十七にもなって処女だった女が容易く誰とでも寝たりはしないだろう。
それとも、レイプされて自棄になって、誰彼構わず?
いや、それもないだろう。悠理は実里の瞳を思い出した。くっきりとした黒い瞳は理知の光を湛え、明るい知性と温かな優しさがあった。
あの女が卑怯な人間であれば、早妃を轢いたときに、そのまま逃げたはずだ。だが、あの女はすぐに救急車を呼び、搬送の間もずっと付き添い、病院にも詰めていた。
「それが、どうしたっていうんだ。早妃と赤ん坊は死んじまったんだ。生命を失うのに比べたら、その程度のことは痛くもかゆくもないだろ」
「お前ってヤツは」
二度目の拳が来た。今度は悠理も大人しくはしていなかった。やられっ放しではなく、柊路の頬を殴り返した。
「恥知らずな貴様の友達でいることが恥ずかしいよ」
「それは、こちらの科白だ。お前はあの女が俺の女房と子どもを轢き殺した張本人だと知った上で、のぼせ上がったんだろうが」
「俺は彼女の人柄や生き方に惚れたんだ。それをお前にとやかく言われる筋合いはない」
上になり下になりと揉み合いながら、二人の男はどちらも負けない大声で怒鳴り合った。
上になった柊路の振り上げようとした拳がふと力なく降りた。
やりきれない声が洩れた。
「悠理、―彼女、妊娠してるぞ」
その言葉に、悠理はハンマーで脳天を一撃されたように思えた。
「あの女が―妊娠?」
悪い夢を見ているようだ。
悠理は無理に笑おうとした。
「どうせ、どこかの男と愉しんだんだろうよ。一度ヤラレちまえば、後は何回やろうが、同じことだからな。まさか、相手はお前じゃないだろうな」
柊路が悠理を烈しい眼で睨んだ。
「お前、もう一発、殴られたいのか?」
悠理は愕然としていた。
そう、そんなはずはない。あの女は俺にヤラレるまではバージンだったのだ。二十七にもなって処女だった女が容易く誰とでも寝たりはしないだろう。
それとも、レイプされて自棄になって、誰彼構わず?
いや、それもないだろう。悠理は実里の瞳を思い出した。くっきりとした黒い瞳は理知の光を湛え、明るい知性と温かな優しさがあった。
あの女が卑怯な人間であれば、早妃を轢いたときに、そのまま逃げたはずだ。だが、あの女はすぐに救急車を呼び、搬送の間もずっと付き添い、病院にも詰めていた。