My Godness~俺の女神~
第2章 ♯Accident♯
―それって、どういうこと?
潤平の眉毛の間の皺が更に深くなった。
―俺の言いたいことが判らないのか?
正直、そのときは彼の意図を計りかねた。
―俺たち、付き合って何年になると思うんだ?
実里は眼を瞠った。
―この四月で八年目よ。それがどうかしたの?
潤平は焦れったそうに煙草を取り出し、火を付けた。
―そろそろ潮時だろ、俺たちも。
―潮時って?
潤平が呆れたように鼻を鳴らした。
―だからさ、結婚しても良いんじゃないかって言ってるんだよ。
その言葉を聞いて、実里は唖然とした。
皮肉なものだった。実里にだって潤平と結婚したいと願ったことは一度や二度ではなかったのだ。まずは総合職から突如として受け付けに回された時。あのときは、いっそのこと潤平がプロポーズでもしてくれればと思った。
だが、それが単なるに逃げでしかないことに気づき、結婚を逃避の理由にしてはならない考えを改めたのだ。たとえ結婚退職して一時的に安息を得られたとしても、人生に困難はつきものだ。そうやって逃げてばかりいては、何の進歩もない。
それ以外にも、結婚を考えたことはある。今の会社で活躍したいという実里の夢は結婚しても叶えられるものだと思っていた。しかし、大手の広告代理店に勤務する潤平はその頃、仕事の方が面白くてならない様子で、積極的に結婚しようという意思はないらしかった。
それが何故、今になって潤平の口から〝結婚〟という言葉が何の前触れもなく飛び出したのか、最初は怪訝に思った。
確かに付き合ってきた月日だけを数えれば、今、結婚したからといって、けして早過ぎはしない。むしろ、実里の両親などは、潤平との仲はどうなっているのか、そろそろ結婚はしないのかと不安そうに訊ねてきた。
女の二十七歳というのは、まさに適齢期である。今、結婚しなくて、どうするのか? と昔気質の両親などは潤平のどっちつかずの態度にひどく心配して、親戚に実里の縁談紹介を頼む有様だったのである。
けれど、今はその頃とは状況が違う。新プロジェクト立ち上げメンバーに選ばれたことで、実里の未来は大きく変わろうとしている。
潤平の眉毛の間の皺が更に深くなった。
―俺の言いたいことが判らないのか?
正直、そのときは彼の意図を計りかねた。
―俺たち、付き合って何年になると思うんだ?
実里は眼を瞠った。
―この四月で八年目よ。それがどうかしたの?
潤平は焦れったそうに煙草を取り出し、火を付けた。
―そろそろ潮時だろ、俺たちも。
―潮時って?
潤平が呆れたように鼻を鳴らした。
―だからさ、結婚しても良いんじゃないかって言ってるんだよ。
その言葉を聞いて、実里は唖然とした。
皮肉なものだった。実里にだって潤平と結婚したいと願ったことは一度や二度ではなかったのだ。まずは総合職から突如として受け付けに回された時。あのときは、いっそのこと潤平がプロポーズでもしてくれればと思った。
だが、それが単なるに逃げでしかないことに気づき、結婚を逃避の理由にしてはならない考えを改めたのだ。たとえ結婚退職して一時的に安息を得られたとしても、人生に困難はつきものだ。そうやって逃げてばかりいては、何の進歩もない。
それ以外にも、結婚を考えたことはある。今の会社で活躍したいという実里の夢は結婚しても叶えられるものだと思っていた。しかし、大手の広告代理店に勤務する潤平はその頃、仕事の方が面白くてならない様子で、積極的に結婚しようという意思はないらしかった。
それが何故、今になって潤平の口から〝結婚〟という言葉が何の前触れもなく飛び出したのか、最初は怪訝に思った。
確かに付き合ってきた月日だけを数えれば、今、結婚したからといって、けして早過ぎはしない。むしろ、実里の両親などは、潤平との仲はどうなっているのか、そろそろ結婚はしないのかと不安そうに訊ねてきた。
女の二十七歳というのは、まさに適齢期である。今、結婚しなくて、どうするのか? と昔気質の両親などは潤平のどっちつかずの態度にひどく心配して、親戚に実里の縁談紹介を頼む有様だったのである。
けれど、今はその頃とは状況が違う。新プロジェクト立ち上げメンバーに選ばれたことで、実里の未来は大きく変わろうとしている。