My Godness~俺の女神~
第3章 ♯Vengeance(復讐)♯
悠理は心の中で呟いた。あいつは、そういう女だった。自分よりも、いつも他人のことを気にかけているような人間だった。だから、俺はあいつに惚れたんだ。あいつの身体との相性が良いとか、今風の美人だからとか、そんな上っ面だけのものに惹かれたんじゃない。
悠理は自分でもゾッとするような昏(くら)い声で言った。
「そんなことは言われなくても判ってる」
「なら、何で早妃さんを安心させてやれない? 死んだ方がマシだなんて言うんだよ」
柊が覆い被せるように言うのに、悠理は怒鳴った。
「俺が! この俺が苦しいんだよ。苦しくて堪らないんだ。あいつのいない世界はあまりにも淋しくて空しすぎる。もう、何を目標に生きていけば良いか判らないんだ」
「悠理、気持ちは判るけど、しっかり気を持たなきゃ駄目だ」
柊が屈み込んで悠理と眼線を合わせようとして息を呑んだ。
「悠理、お前、泣いてるのか?」
悠理の頬をひとすじの涙が流れ落ちていた。悠理は無意識の中に手のひらで頬を撫でた。確かに濡れていた。
そうか、俺は泣いていたんだな。
馬鹿みたいだが、柊に言われて初めて納得した。
どうやら、自分でも自覚のないままに涙を流していたらしい。
柊が押し黙り、小さく首を振っている。今は何を言っても無駄だと思ったのかもしれない。柊の本当の名前は柊(しゆう)路(じ)という。
―クリスマスイブに生まれたから、この名前がついたんだ。全くロマンチックっていうか変な趣味で息子の名前つけやがってよう。
と言いながらも、実のところ、当人はこの名前を気に入っている。悠理と同じホストクラブ〝Star★Light〟に在籍するホストでもある。四年前に入店して二年目に悠理がナンバーワンになるまでは、彼が常に指名率一位を獲得していたという売れっ子だ。
確かに悠理とはまた違ったタイプだとは思う。悠理が優男なのに対して、柊は陽に焼けた精悍な風貌でワイルドという形容がふさわしい。玄関フロアの紹介パネルにはそれぞれのホストの紹介も簡略に記されており、その中に似ている芸能人、有名人という項がある。柊はそこに〝俳優松岡昌宏〟と書かれていた。
悠理は自分でもゾッとするような昏(くら)い声で言った。
「そんなことは言われなくても判ってる」
「なら、何で早妃さんを安心させてやれない? 死んだ方がマシだなんて言うんだよ」
柊が覆い被せるように言うのに、悠理は怒鳴った。
「俺が! この俺が苦しいんだよ。苦しくて堪らないんだ。あいつのいない世界はあまりにも淋しくて空しすぎる。もう、何を目標に生きていけば良いか判らないんだ」
「悠理、気持ちは判るけど、しっかり気を持たなきゃ駄目だ」
柊が屈み込んで悠理と眼線を合わせようとして息を呑んだ。
「悠理、お前、泣いてるのか?」
悠理の頬をひとすじの涙が流れ落ちていた。悠理は無意識の中に手のひらで頬を撫でた。確かに濡れていた。
そうか、俺は泣いていたんだな。
馬鹿みたいだが、柊に言われて初めて納得した。
どうやら、自分でも自覚のないままに涙を流していたらしい。
柊が押し黙り、小さく首を振っている。今は何を言っても無駄だと思ったのかもしれない。柊の本当の名前は柊(しゆう)路(じ)という。
―クリスマスイブに生まれたから、この名前がついたんだ。全くロマンチックっていうか変な趣味で息子の名前つけやがってよう。
と言いながらも、実のところ、当人はこの名前を気に入っている。悠理と同じホストクラブ〝Star★Light〟に在籍するホストでもある。四年前に入店して二年目に悠理がナンバーワンになるまでは、彼が常に指名率一位を獲得していたという売れっ子だ。
確かに悠理とはまた違ったタイプだとは思う。悠理が優男なのに対して、柊は陽に焼けた精悍な風貌でワイルドという形容がふさわしい。玄関フロアの紹介パネルにはそれぞれのホストの紹介も簡略に記されており、その中に似ている芸能人、有名人という項がある。柊はそこに〝俳優松岡昌宏〟と書かれていた。