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My Godness~俺の女神~

第3章 ♯Vengeance(復讐)♯

 確かにTOKIOの松岡昌宏を何となく彷彿さとせる風貌ではある。性格も見かけどおり、剛胆で男らしい。その中にも不器用な男の優しさというものが見え、現在は一位の悠理、二位の十代の若いホストに次いで三位にランクインしていた。
 多分、悠理とは対照的な性格だから、店のホストたちの中でも長くに渡って親友づきあいが続いたのだろう。タイプが違うから、それぞれの常連というか得意客も全く違う、その点、一人でも多くの馴染みを獲得したいと凌ぎを削るホストたちの中でライバルになることもなかった。はっきりとした歳を訊いたことはないが、多分、悠理より二つくらい上なのではないか。
「夢を見ていたんだ。もしかしたら、夢を見ながら泣いていたのかもしれない」
 悠理が呟くと、柊は眼を見開いた。
「夢?」
「どこかから声が聞こえてくるんだ。俺を一生懸命探してるって感じかな。俺は辺り一面、白い霧に包まれた中を必死でそいつを探すんだけど、見つからないんだ」
 柊は絶句した。
 そんな友には頓着せず、悠理は熱に浮かされたように続ける。
「遠くから聞こえてくるその声は早妃に似ていた。でも、目覚めてみたら、側には柊がいて、早妃のものだと思い込んでいた声は柊の声だった」
 悠理は胡座をかいた上に乗せた両手を握りしめた。
「―あいつは、どうなった?」
「あいつ?」
 柊は戸惑った顔で悠理を見た。
「あいつだよ。早妃と赤ん坊を殺しやがった、あの女」
 柊がまた息を呑んだ。
「おい、悠理。これはお前にちゃんと言っとかないと駄目だとは思っていたんだが、あれは不幸な事故だったんだ。お前の気持ちは判るが、彼女を逆恨みするのは止めろ」
 悠理が燃えるようなまなざしで柊を射抜いた。
「逆恨みだと? 何で、そうなる? 早妃と子どもがあの女の車に撥ねられて死んだのは紛れもない真実なんだぞ」
 柊は激高する悠理をというよりは、自らを落ち着かせようとするかの口調で言った。

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