My Godness~俺の女神~
第3章 ♯Vengeance(復讐)♯
「馬鹿だな、ホント、馬鹿だよ、あいつ。店の近くにはコンビニもあるし、傘なんて今時買おうと思えば、どこでも買えるのに」
悠理の声が戦慄(わなな)いた。
「早妃さんにとって、お前はそれだけ大切な人だったんだよ、悠理」
ああ、そうだったよ。早妃、俺にとっても、お前は世界一の女だった。俺の女神だったんだ。
悠理の眼から涙が流れ落ちた。
「こんなことを言えば、お前はまた俺が所詮は他人事だから言うとそっぽを向くかもしれないが、悠理、早妃さんは短い一生だったが、幸せに精一杯生きたと思うぞ。お前に出逢って、二人で暮らしたのが彼女の十九年の生涯でいちばん幸せな時期だったんじゃないのかな」
三歳で父親に棄てられ、母親は早妃が七歳のときに再婚した。その義父は見かけは大人しい平凡な会社員だったが、酔うと別人のようになるという典型的な酒癖の悪いパターンであった。
早妃が十三歳の時、酔って帰宅した義父が早妃の勉強部屋を訪れ、既に寝ていた早妃を無理に起こしてレイプした。以来、酔うと似たようなことを繰り返した。母親は途中からは気づいてはいたが、知らん顔をしていた。
既に一度男に棄てられた身で、また棄てられるのが怖かったのだ。悪い人ではなかったけれど、いつも亭主の顔色ばかり窺うおどおどした女だった。
ついに早妃は耐えられず、十五歳で家を飛び出した。それからの転落は早かった。繁華街をあてもなく歩いているところを風俗の店にスカウトされ、中学も止めて風俗嬢の道に入る。以来、幾つかの店を転々とし、流れ着いたのが悠理と出逢った頃に勤めていたキャバクラだった。
けして幸福とも恵まれているともいえない短い生涯であった。悠理との同棲生活は三年に及んだ。
「幸せ、だったのかな」
早妃のあまりにも短い人生を考えると、今更ながらに早妃が不憫でならない。
俺は早妃に一体、何をしてやれただろう?
俺と出逢わなければ、あいつが死ぬことはなかったかもしれないのに。
「酷い話だよな。義理とはいえ父親にずっと好き放題にされてきたんだよ。あいつの人生を皆で寄ってたかって踏みにじったんだ。もしかしたら、俺もその一人だったかもしれない」
悠理の声が戦慄(わなな)いた。
「早妃さんにとって、お前はそれだけ大切な人だったんだよ、悠理」
ああ、そうだったよ。早妃、俺にとっても、お前は世界一の女だった。俺の女神だったんだ。
悠理の眼から涙が流れ落ちた。
「こんなことを言えば、お前はまた俺が所詮は他人事だから言うとそっぽを向くかもしれないが、悠理、早妃さんは短い一生だったが、幸せに精一杯生きたと思うぞ。お前に出逢って、二人で暮らしたのが彼女の十九年の生涯でいちばん幸せな時期だったんじゃないのかな」
三歳で父親に棄てられ、母親は早妃が七歳のときに再婚した。その義父は見かけは大人しい平凡な会社員だったが、酔うと別人のようになるという典型的な酒癖の悪いパターンであった。
早妃が十三歳の時、酔って帰宅した義父が早妃の勉強部屋を訪れ、既に寝ていた早妃を無理に起こしてレイプした。以来、酔うと似たようなことを繰り返した。母親は途中からは気づいてはいたが、知らん顔をしていた。
既に一度男に棄てられた身で、また棄てられるのが怖かったのだ。悪い人ではなかったけれど、いつも亭主の顔色ばかり窺うおどおどした女だった。
ついに早妃は耐えられず、十五歳で家を飛び出した。それからの転落は早かった。繁華街をあてもなく歩いているところを風俗の店にスカウトされ、中学も止めて風俗嬢の道に入る。以来、幾つかの店を転々とし、流れ着いたのが悠理と出逢った頃に勤めていたキャバクラだった。
けして幸福とも恵まれているともいえない短い生涯であった。悠理との同棲生活は三年に及んだ。
「幸せ、だったのかな」
早妃のあまりにも短い人生を考えると、今更ながらに早妃が不憫でならない。
俺は早妃に一体、何をしてやれただろう?
俺と出逢わなければ、あいつが死ぬことはなかったかもしれないのに。
「酷い話だよな。義理とはいえ父親にずっと好き放題にされてきたんだよ。あいつの人生を皆で寄ってたかって踏みにじったんだ。もしかしたら、俺もその一人だったかもしれない」