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My Godness~俺の女神~

第3章 ♯Vengeance(復讐)♯

 それにしては、あの柊路という男性は、影がなくて頼もしい。むしろ誠実ささえ感じられる人だった。やはり、人を外見とか職業だけで判断してはいけないのかもしれない。
 だが。溝口悠理という男は何を考えているのだろうか。最愛の妻を殺したと実里を恨んでいるのはよく知っているけれど、昨日のように、ずっと実里に付きまとって恨み言を囁き続けるつもりなのだろうか。
―哀しみややりきれなさを誰かにぶつけることで、自分の気持ちに折り合いをつけようとしているんです。
 もし彼が一時的にでもそうやって自分に恨み辛みをぶつけることで、いずれ立ち直れるというのなら、実里は辛くとも耐えるつもりだ。
 しかし、あの憎悪に燃える瞳は、単に恨み言を述べ立てるだけで済むとは思えないような―何か空恐ろしい企みが秘められているのではないか。そう思うような危うさがあった。
 私は、あの瞳が怖い。
 暗い焔を宿した瞳が常に、どこにいても自分を射貫くように見つめているようで。
実里は思わず両手で自分の身体を抱きしめていた

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