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My Godness~俺の女神~

第5章 ♯Detection(発覚)♯

 実里は頬を染めた。どちらかといえば性的なことには奥手の彼女は、そのテの話も苦手なのだ。
「女同士なんだから、別に良いでしょ。ねえ、いつだったの?」
 ひかるらしくもないと思ったけれど、深くは考えずに応えた。
「えっと、確か三月の終わりだったと思う」
 ひかるが愕いたように言った。
「そんなに前? じゃあ、それからずっと来てないのね」
「うん。ここのところ、新規プロジェクトのこととか、色々あったからね。胃の調子が悪いのもそっちも環境の変化が原因だと思うの」
 ひかるはまたも思案顔で言った。
「これも訊きにくいことだけど、彼氏とはその―」
 流石にひかるも少し躊躇った後、口にした。
「彼氏と寝たりしてる?」
 実里の頬がますます赤らんだ。
「そんなことしないわ」
「えっ、実里。まさか彼氏とはまだ―なんて言わないわよね」
「今日のひかるってば変。何で、そんな話ばかりするの?」
 いつもなら実里が嫌がれば、そんな話を続けようとはしないのに、何故、今日は執拗に訊きたがるのか。
 疑問に思いながらも、実里はありのままを応えた。
「潤平さんとは、まだ一度もないわ。あなたが多分、訊きたいようなことは」
「信じられない。八年も付き合っていながら、一度もないの? 本当に本当?」
「嘘じゃないわ」
「愕いた。私はてっきり―」
 ひかるは心底、愕いたようである。
「じゃあ、ひかるは金橋君とはもう?」
 そこは気心の知れた女友達同士、明確にせずとも通じ合うものがある。
 当たり前だというように彼女は頷いた。
「付き合って、そろそろ一年だもの。別に不思議はないでしょう」
 毅然として言うひかるの横顔を見る実里の心境は複雑だ。ひかるが急に見知らぬ女になったようでもあるし、ある意味では、そんな風に自然に彼氏と次の段階へと進めるひかるの柔軟さや勇気が羨ましくもある。
 だからといって、ひかるが特に蓮っ葉だとか淫乱というわけでは断じてない。むしろ、彼女は実里ほどではないにしろ、現代女性にしては慎ましいタイプの方だ。

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