My Godness~俺の女神~
第5章 ♯Detection(発覚)♯
と、愕くべきことに、潤平が降りたその場所に待ち受けていた。恐らく、階段を使ったに違いない。途中で二度も止まらなければ実里の方が先に着いたかもしれないが、全速力で駆け下りた男の方がわずかに早かったのだろう。
「実里!」
潤平が実里の腕を掴む。
実里はその腕を思い切り振り払った。
後からやってきた子連れの若い夫婦が何事かとこちらを興味津々で見ながら通り過ぎていった。
「もう良いから」
「何が良いんだよ」
潤平も負けずに怒鳴る。
実里は今度は溢れ出る涙をぬぐいもせずに、潤平を睨んだ。
「あなたが私を絶対にマンションに呼ばない理由が漸く判ったわ」
「一体、何を言ってるんだ?」
あくまでもシラを切るつもりなのだ。
実里は潤平を真正面から見据えた。
「私以外に付き合っていた女の人がいたのね」
そこで潤平が初めて弱気な態度を見せた。
「弁解をするつもりはないが、これだけは聞いてくれ。お前にこの前―四月に逢った時、俺はお前に言った。俺のものになってくれと。だが、お前は頑としてはねのけ、俺を拒絶したんだぞ? 実里、俺だって男だ。八年もの間、待ち続けて更にお預けを喰らわされて、平気でいられるとでも思うのか?」
実里は乾いた声で言った。
「じゃあ、たった今、私が見たあの光景は、すべて私のせいだというの? 私があの時、あなたとホテルに行かなかったから?」
私は、あなたの何なの?
実里は大声で叫びたかった。
「お預けだなんて言い方しないで。私は、あなたの欲しいときに身を投げ出す餌じゃないわ」
あの女は誰?
訊ねようたとしたけれど、止めた。
今になって判ったところで、意味はない。
潤平は訊ねられもしないのに、自分から応えた。
「あの女は取引先の人だ。お前と最後に逢ってから、こういう関係になった。もちろん、顔見知りではあったが、誓って長い付き合いじゃない」
「つまり、あの人と男と女の関係になったのも、私の煮え切らない態度が原因。あなたはそう言いたいのね」
実里は淡々と言った。
「実里!」
潤平が実里の腕を掴む。
実里はその腕を思い切り振り払った。
後からやってきた子連れの若い夫婦が何事かとこちらを興味津々で見ながら通り過ぎていった。
「もう良いから」
「何が良いんだよ」
潤平も負けずに怒鳴る。
実里は今度は溢れ出る涙をぬぐいもせずに、潤平を睨んだ。
「あなたが私を絶対にマンションに呼ばない理由が漸く判ったわ」
「一体、何を言ってるんだ?」
あくまでもシラを切るつもりなのだ。
実里は潤平を真正面から見据えた。
「私以外に付き合っていた女の人がいたのね」
そこで潤平が初めて弱気な態度を見せた。
「弁解をするつもりはないが、これだけは聞いてくれ。お前にこの前―四月に逢った時、俺はお前に言った。俺のものになってくれと。だが、お前は頑としてはねのけ、俺を拒絶したんだぞ? 実里、俺だって男だ。八年もの間、待ち続けて更にお預けを喰らわされて、平気でいられるとでも思うのか?」
実里は乾いた声で言った。
「じゃあ、たった今、私が見たあの光景は、すべて私のせいだというの? 私があの時、あなたとホテルに行かなかったから?」
私は、あなたの何なの?
実里は大声で叫びたかった。
「お預けだなんて言い方しないで。私は、あなたの欲しいときに身を投げ出す餌じゃないわ」
あの女は誰?
訊ねようたとしたけれど、止めた。
今になって判ったところで、意味はない。
潤平は訊ねられもしないのに、自分から応えた。
「あの女は取引先の人だ。お前と最後に逢ってから、こういう関係になった。もちろん、顔見知りではあったが、誓って長い付き合いじゃない」
「つまり、あの人と男と女の関係になったのも、私の煮え切らない態度が原因。あなたはそう言いたいのね」
実里は淡々と言った。