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My Godness~俺の女神~

第6章 ♯Conflict(葛藤)♯

―いやいや、女の子の方がじいじには可愛くて、よろしいですよ。うちも女の子ですから、私の言うことに間違いはありません。
―そうですかねえ。そうですね。やっぱり、最初は女の子ですかね。
 そう言いながら、父は男泣きに泣いていた。
 実里は、これまで父の涙など一度も見たことがなかった。そんな父の姿を見て、実里もまた物陰で泣いた。
 お父さん、ごめんなさい。親不孝な私を許して。
 父にも母にも詫びの言葉がなかった。
―元気そうで、安心したよ。あと少しだね。良い子を産むんだよ。
 ムシさんは帰り際、見送りに出た実里の肩を叩いて帰っていった。
 それがつい一週間前のことだ。
「済みません、レジ、お願いできますか?」
 遠慮がちな声に我に戻り、実里は狼狽えた。
「ごめんなさい。すぐに打ちますから」
 どうもムシさんと父の会話を思い出していたのがまずかったようだ。
 我を忘れていたことを悔いながら、まずは客に謝った。ここを止めさせられたら、本当に仕事の当てがなくなってしまう。
 実里の考えでは、妊娠九ヶ月の終わりまでは働いて、臨月から産休に入ろうと考えていた。
 その前に店長に直談判して、産後もできれば、今度は正社員として働かせて貰えないかと頼み込むつもりだ。
 そのためにも、精一杯働く。間違っても、客からクレームをつけられるようではいけない。
「本当に申し訳ございません。ついうっかりしていて」
 客がカゴに入れてきた商品のバーコードを一つ一つ、スキャナで読み取ってゆく。
 鶏飯弁当、ウーロン茶、男性用シェービングローション。
 どうも独身の男性らしい。実里は値段をスキャナで読み取った後、初めて客の方をまともに見た。
「九百五十円です」
 言い終わらない中に、実里は〝あっ〟と声を上げていた。
 客の方も眼を丸くしている。
「もしかして、実里ちゃん?」
「片岡さん―」
 何と、その客は悠理の親友片岡柊路であった。

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