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トラブルマーチ

第5章 契約

玄関について一呼吸。


私が靴に足を入れようと、片足を上げようとした時。


ペタン、ペタン


水気を含んだ足音がした。

振り返るのも恐ろしく…身を強張らせると、足音が止まった。


「里香?…何してんの?」


発せられた声の方向にゆっくりと振り返ると、腰にタオルを巻いただけのビショビショの姿で立っている谷原がいた。


「ん…何も?」


「…帰ろうとしてた?」

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