淫らな死体~お嬢さま春泉の秘密~④
第8章 夫の秘密
そろそろ賑やかになってきた色町を抜けたときは、既に西の空は暮れなずみ始めていた。
この町が生まれ変わったように輝き始める時間だ。
人通りの多い大路へと出た秀龍は、自然に早足になった。折角、今日は義禁府の長官から、今日は早く帰っても良いと許しが出たのだ。この間は失敗したが、今度こそはと意気込みながら、颯爽と歩く。
「さりげなーく、さりげなーく」
呟きながら揚々と歩いてゆく秀龍は、見かけは容姿端麗の両班の若さまだが、意味不明のことをぶつぶつと繰り返している様は、どう見ても、ただの危ない人である。
足早に通り過ぎてゆく彼を見て、まだ若い常民の娘二人たちがひそひそと囁き合いながら笑っているのも全く眼に入らなかった。
この町が生まれ変わったように輝き始める時間だ。
人通りの多い大路へと出た秀龍は、自然に早足になった。折角、今日は義禁府の長官から、今日は早く帰っても良いと許しが出たのだ。この間は失敗したが、今度こそはと意気込みながら、颯爽と歩く。
「さりげなーく、さりげなーく」
呟きながら揚々と歩いてゆく秀龍は、見かけは容姿端麗の両班の若さまだが、意味不明のことをぶつぶつと繰り返している様は、どう見ても、ただの危ない人である。
足早に通り過ぎてゆく彼を見て、まだ若い常民の娘二人たちがひそひそと囁き合いながら笑っているのも全く眼に入らなかった。