淫らな死体~お嬢さま春泉の秘密~④
第9章 哀しい誤解
「―」
返事がない。香月が見たときには、秀龍はもう、軽い寝息を立てていた。
「正直言えば、俺、かなり、その娘に興味あるんだ。これまで、どんな美人にもその気にならなかった兄貴を骨抜きにした女だもの、男なら、誰でも興味あるよ」
だが、それを言えば、兄貴に冗談でなく殺されちまいそうだから、言わないよ。
間違いない。兄貴は、皇秀龍は、妻を傷つける者相手なら、人殺しさえやりかねないだろう。兄貴はそういう男だ。石頭の常識家の癖に、頭のネジが一旦飛んじまったら、凶暴な狼のようになるんだからな。
香月もまた、誘われたように小さな欠伸を洩らし、やがて秀龍の傍に転がると眼を閉じた。
返事がない。香月が見たときには、秀龍はもう、軽い寝息を立てていた。
「正直言えば、俺、かなり、その娘に興味あるんだ。これまで、どんな美人にもその気にならなかった兄貴を骨抜きにした女だもの、男なら、誰でも興味あるよ」
だが、それを言えば、兄貴に冗談でなく殺されちまいそうだから、言わないよ。
間違いない。兄貴は、皇秀龍は、妻を傷つける者相手なら、人殺しさえやりかねないだろう。兄貴はそういう男だ。石頭の常識家の癖に、頭のネジが一旦飛んじまったら、凶暴な狼のようになるんだからな。
香月もまた、誘われたように小さな欠伸を洩らし、やがて秀龍の傍に転がると眼を閉じた。