
淫らな死体~お嬢さま春泉の秘密~④
第4章 母の恋
柳家の門をくぐると、意外にもそこには、これから逢おうと思っていた人物がいた。春泉の母チェギョンである。その美貌を謳われるだけあって、流石に美しい。十六歳の娘の母とは思えないし、今年、三十五歳だというが、どう見ても三十そこそこ、二十代後半といっても通るだろう。
彼をひとめ見たチェギョンの顔に烈しい驚愕がひろがった。
無理もない。彼を初めて見た者は大抵、これと似たり寄ったりの反応をする。混血児である母を持つ彼は、外見も朝鮮人が〝異様人〟と呼ぶ外国人を彷彿とさせる。
だから、光王はこういった反応には慣れている。
光王は小間物の入った箱を背負ったまま、チェギョンに微笑みかけ、手で差し招いた。
チェギョンは彼を惚(ほう)けたように見つめている。
この様子では、この女を落とすのはそう難しい問題ではないだろうと踏んだ。
チェギョンが若い男を屋敷の寝室に引き入れては、いっときの情事に耽っている―。既にそのことは情報として仕入れてある。彼女が光王の仕掛けた罠にかかるのは大体、予測できた。
チェギョンが自分を落ち着かせるかのように片手で胸を押さえている。
これは行けそうだな。
光王は独りごち、いっとう魅惑的な笑みを艶麗な面に浮かべた。
「美しい奥さま、行商の小間物屋にございます。もしよろしければ、色々と奥さまのお歓びになりそうな品々をお見せ致しましょう」
誘いかけるような視線をくれると、チェギョンもまた微笑み返してくる。
今度は彼女が光王に向かって、〝おいでなさい〟とでもいうように手で招いた。
美しく化粧しているが、唇だけはあまり紅を塗っていないらしい。少しは色を乗せているのだろうけれど、多分、殆ど地色だろう。鮮やかな紅い唇を見つめていると、あの娘を思い出してしまった。
流石は母娘だ、容貌は似ていなくても、こんなところが似るものなのか。妙なことに感心する。
チェギョンの艶めかしい紅い唇が婉然とした笑みの形を象る。
駄目だ、どうも、あの娘の母親だと思うからか、この女の上に春泉の面影を重ねてしまいそうになる。
彼をひとめ見たチェギョンの顔に烈しい驚愕がひろがった。
無理もない。彼を初めて見た者は大抵、これと似たり寄ったりの反応をする。混血児である母を持つ彼は、外見も朝鮮人が〝異様人〟と呼ぶ外国人を彷彿とさせる。
だから、光王はこういった反応には慣れている。
光王は小間物の入った箱を背負ったまま、チェギョンに微笑みかけ、手で差し招いた。
チェギョンは彼を惚(ほう)けたように見つめている。
この様子では、この女を落とすのはそう難しい問題ではないだろうと踏んだ。
チェギョンが若い男を屋敷の寝室に引き入れては、いっときの情事に耽っている―。既にそのことは情報として仕入れてある。彼女が光王の仕掛けた罠にかかるのは大体、予測できた。
チェギョンが自分を落ち着かせるかのように片手で胸を押さえている。
これは行けそうだな。
光王は独りごち、いっとう魅惑的な笑みを艶麗な面に浮かべた。
「美しい奥さま、行商の小間物屋にございます。もしよろしければ、色々と奥さまのお歓びになりそうな品々をお見せ致しましょう」
誘いかけるような視線をくれると、チェギョンもまた微笑み返してくる。
今度は彼女が光王に向かって、〝おいでなさい〟とでもいうように手で招いた。
美しく化粧しているが、唇だけはあまり紅を塗っていないらしい。少しは色を乗せているのだろうけれど、多分、殆ど地色だろう。鮮やかな紅い唇を見つめていると、あの娘を思い出してしまった。
流石は母娘だ、容貌は似ていなくても、こんなところが似るものなのか。妙なことに感心する。
チェギョンの艶めかしい紅い唇が婉然とした笑みの形を象る。
駄目だ、どうも、あの娘の母親だと思うからか、この女の上に春泉の面影を重ねてしまいそうになる。
