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《Eternal bells…… 》

第18章 すーさんとお菊さん

心の中に、土足で勝手に入って来た目の前の男。それなのに何故か気持ちが軽くなっていた。


「すーさんの一族はしきたりに煩く無かったの?」


「ん…?忍は独学や、ガキの時に助けられた事があってな。
そのじいちゃんが忍やった。じいちゃんが大阪におる間はずっと着いて歩いててな。それからやな」


(私は素人に諭された…
もう…楽になろう…おじいちゃまが言っていた様に…)

「すーさんはどうして京に?」


「おいおい!一応お互い忍やで。素性話すんはまずいやろ。まあ、ホンマのあんたになってくれたんは嬉しいけどな♪」
ニコ♪

「そうだね。色々、ありがとう…」
翠蓮は微笑んだ…
今までとは違う心からの素直な笑顔で…



(ますます可愛いやん!///)

「ええねん、明日の朝までゆっくり休んでな。ここは旅籠やから、朝、女将に声かけてくれればええから。俺はそろそろ帰るで。
6日分の薬は作ったけど、町医者にも行きや。ほな…さいなら♪」
ニカッ♪


二度と会う事は無い、そんな気がした…

ークイッ…
すーさんの袖を、思わず翠蓮は掴んだ…


「あの…」
自分でも無意識の行動で言葉が出ない。


(なんや……潔くさいならするつもりやったのに…可愛すぎるで。反則やな…あぁ!もう!知らんで!)


ーガバッ
翠蓮の顔を挟んで両手をつくと、切なげな顔で上から翠蓮を見つめた…。

熱っぽく切ない瞳は、彼の美しさを余計に引き立てる。


(すーさん?!///)


「なぁ名前、教えてくれへん?俺は丞」

「わ、私は、翠蓮…///」


(なんで顔赤くするんや!もう、あかん!恨むなよ…)


「翠蓮…もう付き纏うのはやめる。会うのも最後や…。最後にひとつだけ、お願い聞いてくれるか?」

「いいよ。お願いって何?」



丞は翠蓮の唇に口づけた…
ー!!!

「……んっ!!」
思わず目を瞑る翠蓮。


チュッと優しく音を立て唇を離すと、頬を撫でる…


「ごめんな…でも、これで吹っ切れた。
ホンマにさいならや。元気でな…」


そう言うと、丞は立ち上がり部屋を出て行った、、


(丞…ありがとう)




雪がちらつく夜の京の町、、、

(もっと違う形で出逢いたかったな…

次、会う時は敵としてか…

惚れたもん負けやな…いい女やった。

さいなら…)

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