テキストサイズ

《Eternal bells…… 》

第18章 すーさんとお菊さん

翠蓮は夢を見た、、、


『翠蓮、忍でも感情を持っていいんじゃぞ?』
目尻に深い皺を寄せて笑いかける老人…

『おじいちゃま!お父上にまた叱られます。オラは立派な忍になるのです!
杏華一族なのですから』

『お前は心の臓が弱いんじゃぞ?それにな…忍が必要なくなる世は必ず来る。それもそんな遠くはないかもしれんのぉ…』


しわしわの暖かい手で頭を撫でると優しく微笑んだ…
そして背中を向けてスゥーっと離れて行った…

『おじいちゃま?置いて行かないで!』
追いかけるが、どんどん離れて行き消えた…



ーーーー



「…おじ……ちゃま……行かな……で…」
涙を流しながら呟く翠蓮…


「…お菊ちゃん……?どうしたん…」
すーさんは涙を指でそっと拭う…

ーピクッ…
うっすらと目を開ける翠蓮。そこには心配そうに顔を覗き込む男と天井…


(ここは…何処だ……?)
起き上がろうとすると、すーさんに押さえられた。


「まだ寝てなあかんで、朝までは大人しくしときやぁ」

「……ここは何処だ?何故お前が居る?」
睨み付ける翠蓮。

「酷いなぁ…倒れたお菊ちゃんを助けたんは俺やのに。店で急に倒れてん…心の臓が悪いんやろ?あんまり無理したらあかんで」


(倒れた…?……そうだった…でも、薬も無いのにどうやって助けた?)


「医者を呼んでくれたのか?」

「俺が診たんや。薬は口移しで飲ませたで♪」
ニヤッ♪

(は…?口移しだと?…///いや、助けられたんだ。そこは仕方ないな…)

「お前は医者なのか?し、忍ではないのか?」

「ん~…医者も忍も中途半端って所やな。
お菊ちゃんも忍やろ…?」

ー!!!

「違う!私はただの女だ…」

「嘘や!゙お菊ちゃん゙ど今のあんだはどっちもホンマの自分じゃないやろ。
無理してずっと忍らしくしない方がええんちゃう?
ホンマの自分で居たらええんや……。
無理して演じても苦しいだけや、それが自分の首を締める事になる。普段まで自分演じるんやめろ!」


ー!!!

図星だった…おじいちゃまが死んでから、家族の中で私の居場所は無かった。兄弟の中で女は私一人、心の臓も弱く感情を表に出す私は必要無い人間だった…。それでも認められたくて、女を捨て古いしきたりに自ら縛られてきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ