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《Eternal bells…… 》

第21章 純粋な狂気

栄太達に会ってから、総司の心に生まれた不安は消えなかった。

(麗美さんは無事なんでしょうか…?)

屯所に居ても落ち着かない総司は
フラフラと町を歩いている…




見覚えのある男の姿…

(あの男は……あの時の長人!!)



麗美も一緒だった為、逃がした浪士
だった。
すれ違い少し距離を取ると、気配を消した総司は男をつけて行く…

(今日は逃がしませんよ…)


大通りを外れ下って行く…
古い長屋や空き家が多い通りに入ると、男は周囲を気にしながら長屋の
一室に入って行った…。


(ここに隠れてるんですかね?
会合場所でしょうか?)


総司は裏に回ると、板で閉ざされた
窓の隙間から中を覗いた…



ほとんど灯りがない部屋に、人が横たわっている…男は湯飲みを持って来ると、人を起こし、水を飲ませた…

(病人でしょうか?)


男が蝋燭に火を灯すと部屋が少し明るくなる…すると、手首が縛られているのが
見えた。



(!!!?)

男はその人を抱きかかえると、粗末な
布団の上に下ろす……乱れた長い髪が
布団に広がる…その髪は…茶色かった…

(麗…美…さん…まさか……)


男は腰紐をほどき、襦袢の前を開くと
覆い被さる…女は窓側に顔を向ける…
酷く悲しげな瞳…麗美だった…

(どうしてっ!!!!)


総司は表に走った、、

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