《Eternal bells…… 》
第31章 大切なモノを守る為…
戸が閉まったままの桝屋…
ードンドンドン!
栄太は戸を叩く…
「どなたです?」
「久輔じゃ!」
ーカタ…ス~
「お帰り…桜香ちゃんがね…その…
酷い二日酔いで休んでいるよ。行って
あげてくれ」
古高は助五郎の事は言えなかった。
「二日酔い…?わかりました」
栄太は二階の部屋に向かった…
ースッ…
部屋の奥には布団で眠る麗美の姿…
栄太は布団の横に座る…
髪はほどかれていたが着物は着たまま。
栄太は箪笥から寝巻きを出し、着替え
させようと布団を捲った…
「ん……」
眉を寄せ辛そうな顔で眠っている…
栄太はそっと頭を撫でて頬に触れた…
ずっと触れたかった人…それなのに、自分
の手が汚れている様に感じる…
(麗美に触れてはいけんな…着替えだけ
我慢してくれ…)
緩んでいる帯を外して着物の前を開くと…
襦袢の紐の結び方がいつもと違う…
栄太の胸にモヤッとした物が広がる…
襦袢の前を開くと綺麗な胸元と肌が露に
なる…白い肌には所々うっすら赤みがさし、
汗の匂いに混じる男の精液の匂い…
ー!!!
(抱かれたんか?!…一体誰に…)
頭を過ったのはここに来る時に会った
助五郎の顔だった…。
胸が苦しくなりふつふつと沸き上がる
嫉妬心…悔しさ…怒り…
栄太は拳を強く握り締めた…
襦袢の襟元を元に戻し、布団を掛ける…
そして腫れた目元にそっと口づけた…
「ごめん…麗美…」
栄太はそっと唇を重ねた…
(愛しちょる……でももう…お前の側に居る
資格は無いけぇ…これが最後のきすだ…)
ーチリン…カチャ…
栄太は机の上に鈴を置いた…
ースッ…パタ
栄太が部屋を出ると、麗美の目尻から
涙が零れた…
(…嫌だよ……栄太…行かないで…)
私は途中から目が覚めていた…でも、
目を開ける事が出来なかった。栄太は
私が違う人に抱かれた事に気づいたはず…
栄太の顔を見るのが怖かったから…。
お互いを想う気持ちは同じだった…
真実を知らずに自分だけを責める麗美…
自分を許せず離れる事を選んだ栄太…