《Eternal bells…… 》
第32章 色付き花火と垂れ花火
数日後、、
机の上に栄太の鈴が置いてあった日から、
栄太の顔を見ていない。桝屋には帰って
来なくなった…晋作さんや古高さんは忙
しいだけだからと慰めてくれるけど、
栄太は私よりあの人の事を選んだんだ…
鈴が置いてあった事が栄太の答えだから…。
それでも私は根付けから鈴を外せない。
持ち主を失った黒い紐の鈴も一緒に付け
ている。
ただ…髪には簪も櫛も飾っていない…
私が付けてはいけない気がして…。
桝屋、、
私は今日も店番中…助さんがあれから
一度も店に来ない事に内心ホッとして
いた。どんな顔して会えばいいのやら…
麗美がボ~~っとしていると…
「___い!起きちょるかぇ?!」
ー!!!
私の目の前には…顔…
「龍馬さん!!」
そう、最近会っていなかった龍馬さんが
私の顔を覗き込んでいたのだった。
「起きたかぇ?何度話かけても全く反応
しないき~…ん…?姫様…少し痩せたのぉ~ちゃんと食べゆうがか…?」
「…食べてるよ。大丈夫!それより、
大事な用で来たんじゃないの…?」
本当は…食欲が全く無いけど…
「そうじゃ!ワシもメイクラブ出来た
ぜよ~♪全く相手してくれんかったんじゃ
けんど、諦めずに押して押して押して!
漸く振り向いてくれたんじゃき。恋仲
になったらこれがまた偉い変わり様で、
可愛いおなごでのぉ~めっためった♪」
「良かったね♪お龍さん振り向いて
くれたんだ。二人は運命の相手だから、
大事にしなきゃ駄目だよ~!」
ニカッ♪
それから龍馬さんは嬉しそうにお龍さん
の話をしてくれた。寺田屋で人気がある
とか、料理が上手い事とか。
二人のおのろけ話は、冷えきった私の心
を少しだけ暖かくしてくれた…。
「あ゙!ワシは藩邸に行かんといけん
かったんじゃ!姫様また来るぜよ!
ほんだらなぁ~♪」
ードドドド…
「…相変わらず…忙しい人…フフッ♪…
運命の…相手か…」
(栄太なら…いいのに…)