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《Eternal bells…… 》

第32章 色付き花火と垂れ花火



再び一人になると考えるのは栄太の事…
こんなにも栄太が好きだったんだと、
離れてみて益々思い知らされた…。


「はぁぁ~~~…」

私が特大の溜め息を放出していると…



「桜香っこ!河原に行かんか?
虎太郎が近所の子供達の先生しゆう
がよ。豆大福買うて来たき、行くぜよ♪」

暖簾を潜っていっくんが現れた。


「じゃあ、喜右衛門さんに頼んで来るね。
豆大福二つあげて良い?待ってて…」


いっくんも私に気を使ってくれている。
夜も遅くまで居てくれたり、私の部屋
で晋作さんと飲んでそのまま寝てしまっ
たり…きっと私を一人にしない様にして
くれてるんだと思う…。




喜右衛門さんにお茶と豆大福を渡して、
私達は河原に向かった、、




「「「赤は~れっど!橙は~おれんじ!」」」


「宜しい!甘味が届いたので、休憩だ!」


虎太郎先生は木の枝を振り回し、
先生っぷりを発揮していた。


「ほれ豆大福だぞ~!川で手を洗って来い」


いっくんの一言で先生と子供達は一気に
川岸に走って行った…


(……山南さんまで…大福欲しいのね…)


そう、子供達に混ざっていた大人が
一人…山南さん。


すっかり馴染んで虎太郎君も懐いてて、
きっといつも遊びに来ているんだと思う。


子供達に囲まれて大福を頬張る姿…


(保父さんのエプロン着けて欲しい…)


「…コソッ…いっくん、あの兄さんはいつも
来てるの?」


「…コソッ…おいが見たんは今日で二回目
じゃき…あの人がどうかしたがか?」


私はいっくんに新選組の総長だと教え
ようと思った…けど…
あんな楽しそうに笑う山南さんから、
この場所を取り上げてしまう事は出来ない…


「ううん、ただ虎太郎君が凄く仲良し
だからよく来てるのかなって」



私といっくんが座って見守る中、山南さん
達は『鬼ごっこ』や『だるまさんが転んだ』をして夕方まで目一杯遊んだ。


帰り際、山南さんは私の手に小さな紙包み
を掴ませ、優しい笑顔を残して帰って行った…


(山南さんは…新選組に居て幸せですか…?)


寂しそうな背中に問いかけても、、

心の内は本人にしか分からない、、

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