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第15章 俺はきみほど愛していない


 素早く姿勢を低くして頭をかすめたナイフを避けた文芽に、千尋は凶的な笑みを浮かべた。

 もうこんなことを十数回も繰り返している千尋には、いい加減文芽の行動にも見当がついている。

 頭上に投げつけた後、すぐに放っていたナイフは文芽の腹部を抉る――はずだった。

 が、姿勢を低くしてすぐさま地面に転がり込んだ文芽には掠りもせず、他のナイフと同じように地面へと突き刺さるだけだった。

 
「うわーあぶねー死ぬかと思ったー」


 綺麗に受け身をとって立ち上がった文芽は、棒読み口調でにやにやと笑う。

 一方千尋は大して悔しがる様子もなく、目つきを険しくするだけだった。

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