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第16章 妄信的なナニカ
『俺はユーリちゃんのこと、きみほど愛してないよ?』
そんな言葉から始まった文芽の言葉――千尋がそれに憤慨したのは、なにも文芽が知ったようなことを言ったからというだけの理由ではない。
容姿以外はそれほどでもないという、悠理を貶める言い方が気に食わなかったのだ。
――あいつに欠陥なんて、あるわけねえだろ。
文字通り24時間彼女を見守っている自分がそう思うのだ、そうとしか思えないのだ。
容姿はもちろん行う仕草も発する言葉もそれを乗せる声も作り出す表情も持ち得る知識も編み出す思考も垣間見る性格も、言い尽くせないほどに全部が全部、千尋にを魅せるのだ。
そんな彼女を一部でも否定する言葉を、どうして受け入れられるだろう。