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第16章 妄信的なナニカ
客観的に見たその根拠など、千尋にとってはどうでもよかった。
ただ悠理が悠理で、その悠理の傍にいる自分さえいればそれで十分だった。
それが恋慕なのか愛慕なのかもっと別の何かなのか、それすらも考えたことがないほどに悠理という存在だけが全てだった。
そう考えれば恋をするのに理由はいらないという典型的な文句と、千尋の悠理に対する執着はとてもよく似ていた。
「……あ?」
いつのまにやらビルの前に帰ってきていた千尋だったが、一階に明かりが灯っているのを見て小さく首をかしげる。
――永井のおっさん、これから出かけんのか?