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第5章 戌原西地区の殺し屋


「いい加減に殺したばかりの人間を私に見せるの、やめてくれませんか」

「えーなんでー?」


 やや不服気そうな表情を浮かべながらも、文芽は軽い口調で返事をした。

 とても足もとに死体を放置している人間のセリフとは思えない。

 悠理のセリフもそれはそれで不謹慎極まりないが、もうこんなことは何十回と繰り返されていることなのである。

 価値観がマヒするには十分すぎる数字だろう。


「なんでって、死体なんて見ても気が滅入るだけじゃないですか」


 それまで考えていたことを意図的に思い出さないようにしながら、悠理は6,7メートル先の相手に眉を潜めた。

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