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第5章 戌原西地区の殺し屋
「あのさ、俺と初めて顔合わせた日のこと覚えてる?」
「……それは、まあ」
忘れられるはずがないだろうと思いながら、悠理は小さく頷く。
なにしろ初めて見た死体の下手人が文芽だったのだ。
当時11歳だった悠理にはどこまでもトラウマ確定な光景ではあったが、今では文芽にしてはマシな状態の死体だったとしか思わない。
それほど悠理の感覚がマヒしているということなのだが、当本人にその自覚は全くなかった。
「俺さ、ユーリちゃんの顔と体のつくりが好きなんだよね」
「……はあ」
――結局外見かよ。
妙に楽しげな表情で喋りだした文芽へ、悠理はさっき以上に呆れをあらわにした。