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第5章 戌原西地区の殺し屋
「……いってー」
そう呟きながら、文芽はひとり公園のベンチに腰を下ろしていた。
片目をつむって痛みを耐えるような表情を浮かべて、赤くなっている額をこする。
そして隣に置いている黒い学生鞄に一瞥して、ニイっと猫のような笑みを浮かべた。
「ユーリちゃんって本当に貞操概念だけはまともなんだもんなあ」
処女をくれと言った瞬間、鞄を投げつけてきた悠理の真っ青な顔色を思い出して、文芽は愉快気に喉を鳴らす。
「その判断基準もマヒさせてあげるから、できれば処女は守り通して欲しいもんだ」
――ねえ、ユーリちゃん。