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第6章 刻まれた快楽
感情に任せて文芽へ鞄を投げつけてその場から逃げだした後、悠理はもっと別のものを投げればよかったとひどく後悔した。
まるで性関係を求めるようなあの言葉、普段の悠理ならば軽く流せただろうが今日そんなことをできるわけがなかった。
――でも、普段だってあれは怒っていいところだから……。
きっと感づかれてはいないはずだと自分に言い聞かせながらも、鞄の中に入っていた教科書やノート類を憂う。
それと同時に、爽真との一連の出来事を思い出して悠理は奥歯を噛みしめた。