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第7章 戌原西地区の便利屋
――矢代くんは、まあ……変態だけどいいおにーさんだから。
床に落ちているタオルを拾って歩を進める悠理に、千尋は一瞬無表情になった後――何事もなかったかのようにやれやれと息を吐いた。
「少しは自分の外見考えろっつの。これまでの五年間、一度も男に襲われてねえのが奇跡みたいなもんだぜ?」
「…………」
千尋の言葉にぴくりと反応を示した悠理だったが、結局何も答えずにリビングへの扉に手をかける。
自分の容姿には無頓着な悠理だったが、男に襲われていないのが奇跡だという言葉に何も思わないわけにはいかなかった。
しかしそれを千尋の前で明らかにするわけにもいかず、結局無言で扉を開ける。
「とまあ軽口はこんぐらいにして、永井が呼んでるぞ」
「それを先に言えこの変態」