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第7章 戌原西地区の便利屋


「千尋、お前また悠理にくだらねえこと言ったな?」


 二階の事務所。

 その窓際にあるデスクの前に座っている永井は、呆れたようにくわえていた煙草を灰皿に押し付けた。

 その前に立っている千尋は頬を赤く腫らしているが、痛がるどころか嬉しそうな笑みさえ浮かべている。

 対する悠理は隣にいる千尋を露骨に無視していた。


「まあ、いつものことか。さっさと仕事内容説明すっから、よく聞けよ。一回しか言わねえぞ」


 永井はそういうなりデスクの引き出しから、数枚の資料を取り出した。

 そこには30代半ばのサラリーマンを思わせるスーツ姿の男の写真と、文章のみの紙が数枚、一枚の地図があった。

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