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第8章 「俺だけだ」
その少女はまだ小学生ほどの背格好だったが、やけに落ち着いた雰囲気をまとっていた。
長いまつげに縁どられた瞳はガラス細工のように繊細で無機質で、短く切りそろえられた黒髪はその一本一本が滑らかに揺れている。
ジーンズの短パンから伸びた足や青い無地のカッターシャツの半袖から露わにされている腕は、滑らかな白だった。
可愛いといえば可愛い。
綺麗だといえば綺麗だ。
しかし、それよりも、もっと別の何かが千尋の目を引き付けた。
「永井さん、終わったよ」
「おう。今いく」
どう見ても親子とは思えないその二人組へ腑に落ちないものを感じながらも、千尋はただ黙ってそれを見送ることしかできなかった。