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第8章 「俺だけだ」


「おにーさん、どうして永井さんの誘いを断ったの?」

「……は?」


 永井が千尋のもとへやってきたその翌日。

 盗車の整備依頼から帰ってきた千尋の家の前には、昨日の少女が待ち構えていた。

 千尋の姿を確認するなり走り寄ってきて、淡々と質問を投げかけた少女の言動にも驚いたが、それよりなにより、彼女が赤いランドセルを背負っていることに絶句した。

 ――こんなとこでランドセルとか、なんのコントだよ……。

 半ば呆れに近い感情を抱きつつも、なぜか落ち着かない、居心地の悪いものを感じる。

 確かに少女は作り物のように整った姿をしていた。

 それに対して緊張しているということもありえたが、何かもっと核心的な部分でこの少女は他人と違うような気がしたのだ。

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