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第8章 「俺だけだ」

 
 少女は宣言通り、毎日千尋のもとへやってきた。

 ランドセルを背負っていることもあれば、何も持ってきていないこともある。

 最初は喧嘩腰だったその態度も回数を経るにつれ丸くなり、表情は乏しいながらも学校でのことや永井のことを話すようになった。

 それと同時に悠理という名の少女へ、千尋自身も親しみを感じ始めていた。

 やはり毎回どうして永井のもとで働かないのかとは聞いてくるが、それ以外の話をするのは気が解れるのだ。

 そうしていつの間にやら悠理がやってくるのを楽しみにするようになった千尋は、ある日仕事帰りに悠理の後姿を西地区の裏路地で目にした。

 とっさに声をかけようとした千尋だったが、彼女の背を見つめているのが自分だけではないことに気づいた。

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