テキストサイズ

××UnderDiary

第8章 「俺だけだ」


「でもよ、あんな将来有望そうなガキが学校も行けないなんて勿体ないだろ?だから学校にも通わせてんだけどなあ……」


 そう言って眉間にしわを寄せた永井は、煙草を灰皿において言葉をつづける。


「ここら辺が通学路として最悪なのは俺も知ってっけどよ、いつでも迎えに行けるわけじゃねえし……」


 どうすっかなー……。

 まるで独り言のようなその言葉が、千尋の頭の中で何度も鳴り響いた。

 悠理を守れる人間は永井だけ。

 しかし、その永井もいつも悠理に時間をさけるわけではない。

 その間に今日の連中のような輩が悠理を襲うかもしれない。

 そして、千尋はそれが耐えられない。

 ――つーことは……。

 答えはシンプルだった。


「俺だけだ」


 ――悠理を守ってやれるのは、俺だけなんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ