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鬼畜の復讐

第1章 医師近藤真一郎

私は篠原隆之を、自分の一族の眠る寺に無縁仏として埋葬し、彼の遺志を継いで復讐の行動に移した。

篠原の遺した手帳から、ある人物に連絡をする。
篠原の元妻、栗原やよいである。

「はい…篠原です…」
彼女は抑揚のない声で電話に出た。

栗原は勿論旧姓であるが、彼女は今も、篠原家に、隆之の父親と娘の詩織と暮らしている。

栗原やよいは、私が名前と、素性を告げると、あからさまに、怒りを含んだ声色に変わった。

「あの人の友人が何の話しですか!こちらに話すことは何もありませんけど」
「篠原がなくなりましてね」
そう告げると、一瞬の間が空いて、
「そう。当然ね。罰が当たったのよ!いい気味だわ!」
「随分な物言いですね?」
予想された返答ではあったが、無性に腹が立った。
「あの鬼畜がしたこと、あなたもご存知でしょう?」
「ええ」
「それで?話しはそれだけかしら?私、いそがしいんです…それだけなら…」
「おっと、電話を切ったら、大変な事になりますよ?栗原やよいさん」
「え?」

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