アルカナの抄 時の掟
第2章 「愚者」逆位置
なんでこうなったんだろう。
ゆったりとした広めの部屋には、ベッドとソファー、テーブル、食器棚が置かれている。他にも石像やら何やら色々あるが、それでもスペースにはゆとりがあり、落ち着いた空間となっている。
それらを目の前に、カオルは一人、呆然と立っていた。
ここは宮殿の一室。カオルは今晩、ここに泊まらせてもらうことになった。そればかりか、どうまかり間違ったのか暫くここで暮らすことになったのだ。行くあてのなかったカオルにはありがたかったのだが。
「もうちょっと庶民的でいいんだけど…」
自分の家の部屋いくつ分だろうか。自分一人にこの部屋は広すぎて落ちつかない。
それにしても…未だに信じられない。アルバートが皇帝…。あの、変な格好のへらへらした人が、この国の皇帝。
そのとき、扉がノックされた。どうぞ、と答えると、先ほどの男性が扉を開けた。
この男性は、ヴェキという名で、皇帝――アルバートの側近らしい。
「陛下がお呼びです」
「あ、はい」
暫くしたら呼びに行くと言われていたので、特に驚きもせずアルバートのもとへ向かった。
ゆったりとした広めの部屋には、ベッドとソファー、テーブル、食器棚が置かれている。他にも石像やら何やら色々あるが、それでもスペースにはゆとりがあり、落ち着いた空間となっている。
それらを目の前に、カオルは一人、呆然と立っていた。
ここは宮殿の一室。カオルは今晩、ここに泊まらせてもらうことになった。そればかりか、どうまかり間違ったのか暫くここで暮らすことになったのだ。行くあてのなかったカオルにはありがたかったのだが。
「もうちょっと庶民的でいいんだけど…」
自分の家の部屋いくつ分だろうか。自分一人にこの部屋は広すぎて落ちつかない。
それにしても…未だに信じられない。アルバートが皇帝…。あの、変な格好のへらへらした人が、この国の皇帝。
そのとき、扉がノックされた。どうぞ、と答えると、先ほどの男性が扉を開けた。
この男性は、ヴェキという名で、皇帝――アルバートの側近らしい。
「陛下がお呼びです」
「あ、はい」
暫くしたら呼びに行くと言われていたので、特に驚きもせずアルバートのもとへ向かった。