テキストサイズ

アルカナの抄 時の掟

第2章 「愚者」逆位置

「ありがとう」
ぱああ、と笑顔になる。

その後、互いのことを少しずつ話し、じゃあねと別れた。本殿の階段を登っていると、上からアルバートが降りてきた。

「カオル!」

「ああ、アルバート」

「ああ、じゃないよ!どこにいたの!探したんだよ!!」

「うん、ちょっとセレナさんと話してた」

「いなくなっちゃったのかと思って心配したよ~!よかったあ」
アルバートは泣きそうな顔で言った。

「ごめん…?」

「カオル、昨日はどうしてたの?」

「ぼーっとしてたよ。あと今日みたいに宮殿ぶらぶらした」

「そっか。ごめんね、来れなくて」

「気にしなくていいよ。なんで謝るの」
別に義務じゃないんだから、とくすくす笑った。

カオルはどうも、昨晩のことは覚えていないようだった。アルバートはそのことについては触れないことにした。

「カオル~」

「ん」

「今日一緒に寝よっか」

「っは!?なにいってんの」

「じゃあ一緒にお風呂」

「もっとやだよっ!」

「じゃあ一緒に食事」

「…まあそれなら…」

「じゃあ決まりねっ」
アルバートは無邪気に笑う。つられて、カオルもいつのまにかくちもとがゆるんでいた。

「そんなに喜ばなくても」

「夕食までなにしようか」

「えっ?今自分の部屋に戻ろうと思ってたんだけど…」

なぜか、今からアルバートと一緒に過ごすことになってる…。

「じゃあカオルの部屋でゲームしよう。持ってくる」
そう言うと、アルバートは階段をかけ上がっていった。





           第二章 完

ストーリーメニュー

TOPTOPへ