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アルカナの抄 時の掟

第4章 「塔」正位置

「どうしたの?カオル」
そんなに見つめて、とアルバート。カオルは慌てて視線を外した。

カオルが目を覚ました後、カオルとアルバートは一緒に食事を取っていた。

「見つめてないよ」
誤魔化すように、ミニトマトのような野菜を口に放り込んだ。

「キスしてほしいの?」

「違う」

「キスしてもいい?」

「だめ」

「…ケチ~」
アルバートは不満げに頬をふくれた。カオルは無視し、サラダを口に運んだ。

と、思い出したようにアルバートが普通の顔に戻り、言った。

「あ、そうそう。明日は結婚パーティーだからね」

「そうなんだ。いってらっしゃい」

「僕とカオルのだよ」

「えっそうなの」

「今度は宮殿の皆全員招いたからすっごい人多いよ」

「どこでやるの?」

「大広間だよ」

ってことはここでやるんだ。全員って何人だろ…入るのかな。

「楽しみだね」
アルバートはニコニコと言った。

「うん」

「キスしてもいい?」

「だめ」

「やっぱりだめか~」

っていうか今食事中じゃん。

「わかってて言ってるでしょ」


…というようなやり取りをしながら食事を終え、休む準備をする。またソファーで寝ようとすると、アルバートはベッドではなくソファーの横に布団を敷き、寝転んだ。

「えっ」

「今日はここ」

大きなベッドが、布団やら枕やらを剥ぎ取られ、寂しそうにたたずんでいる。

「いやいや、ちゃんとベッドで寝てよ。皇帝なんだし」

「いいんだ」
頑として動こうとしないアルバート。

「さ、寝よう」
にこりとしてそう言ったアルバートに、カオルも諦めて眠ることにした。

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