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アルカナの抄 時の掟

第1章 「運命の輪」正位置

「いたたた…」
気がつくと、上に重みを感じる。目を開けると、目を閉じた青年の顔が目に入る。私の上に乗っているのだ。…胸の上に。

「うわわわっ!どいてどいてどいてーー!!」
私は慌てて叩き起こした。

「…ん」
青年は目を覚ます。…胸の上で。

「なんなのよ!どいてよー!」

「ああ…強奪成功みたい」

「はい?」

「戻ってこられた。君をつれて」
笑顔で立ち上がった青年の後ろには、青空と、見たことのない風景が広がっていた。

見渡すと、家屋などの建物が見えるが、どう見ても現代日本の構造ではない。どちらかというと西洋風の、宮殿のような白い大きな建造物も見える。

そして、土の感触。そこには、さっきまでいたアスファルトの道路ではなく、整備されていない、石の混じった自然の道が続いていた。

「え?どこよここ」
あまりの景色の変わりように青ざめる。

「僕がいた世界」

「なに?」

「君のいた世界とは別の世界」

「なんて?」

「だから、異世界に来たんだよ」

「ごめん聞こえなかった。なんて?全然意味がわからないんだけど異世界ってなに言ってるの?」

「聞こえてるね」

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