アルカナの抄 時の掟
第1章 「運命の輪」正位置
さっきからまったく話がかみ合ってない。何を聞いてもまともな答えは返ってきそうにないな、と諦めたときだった。
「やっと見つけましたよ!」
声の方を見ると、馬に跨がった男性が厳しい表情をアルバートに向けていた。
「あーあ。早いなぁ」
観念したようにそう言うと、私の手を離し、その男性に近づく。
「どちらに行かれてたんですか。お探ししましたよ」
馬から降りた男性が、馬を引きながら問いつめた。
「ちょっと遠くまで愛の逃避行でもしようかなあって」
驚いたことに、そう言ったアルバートは真顔だった。
「なにをおっしゃって…そちらのかたは?」
男性が私に気づき、ちらりと一瞥すると、アルバートに問うた。
「ああ…この子ね。客人だよ」
「…客人、ですか」
少し考えるように一呼吸置いてから言った。
「帰ったら部屋用意してね。じゃあ行こうか」
アルバートはそう言うと、今歩いてきた方とは逆の方へ歩き始めた。
「えっ!?ちょ、ちょっと待って!行くってどこに!?」
ぽかんとしている間に話が思いきり進んでいて焦る。
勝手に私も行くことになってるし…。…いや、ここで放り出されるのも困るんだけど。
「おうち」
「宮殿ですよ」
「……は!?」
じゃあ今までどこに向かってたのっていう疑問を抜きにすれば今からアルバート宅に向かうのはまあわかる。でもおうち=宮殿ってなに?
「僕、この国の皇帝だから」
サラリと言うアルバート。
私は目を見開きながらアルバート見つめ、そのまま暫く固まっていた。
第一章 完
「やっと見つけましたよ!」
声の方を見ると、馬に跨がった男性が厳しい表情をアルバートに向けていた。
「あーあ。早いなぁ」
観念したようにそう言うと、私の手を離し、その男性に近づく。
「どちらに行かれてたんですか。お探ししましたよ」
馬から降りた男性が、馬を引きながら問いつめた。
「ちょっと遠くまで愛の逃避行でもしようかなあって」
驚いたことに、そう言ったアルバートは真顔だった。
「なにをおっしゃって…そちらのかたは?」
男性が私に気づき、ちらりと一瞥すると、アルバートに問うた。
「ああ…この子ね。客人だよ」
「…客人、ですか」
少し考えるように一呼吸置いてから言った。
「帰ったら部屋用意してね。じゃあ行こうか」
アルバートはそう言うと、今歩いてきた方とは逆の方へ歩き始めた。
「えっ!?ちょ、ちょっと待って!行くってどこに!?」
ぽかんとしている間に話が思いきり進んでいて焦る。
勝手に私も行くことになってるし…。…いや、ここで放り出されるのも困るんだけど。
「おうち」
「宮殿ですよ」
「……は!?」
じゃあ今までどこに向かってたのっていう疑問を抜きにすれば今からアルバート宅に向かうのはまあわかる。でもおうち=宮殿ってなに?
「僕、この国の皇帝だから」
サラリと言うアルバート。
私は目を見開きながらアルバート見つめ、そのまま暫く固まっていた。
第一章 完