All Arounder
第26章 Encounter
「井上…お前ダーツ出来んのか?」
「飛び道具は俺の専門分野なんでね。…大志は苦手そーだな」
「…」
大志は少し口を尖らせた
…図星かよ
地味に可愛いじゃねーか
井上はダーツボードの方を向いた
スッと腕を持ち上げる
「…」
一瞬だった
トンッ
と言う音にハッとし、ボードを見てみると
矢は的のど真ん中に突き立っていた
「百点満点っ」
みんな目を真ん丸にさせ、井上を見る
「ま、まぐれに決まってる…あと9本もあるんだからな…」
高校生はあくまで平静を装う
井上はまた矢を受け取った
ヒュンッと投げると、またもや真ん中に当たる
「やるなぁ」
大志も感心しているようだ
「あと8本だな、余裕ーっ」
井上は次々に矢を的の真ん中に突き立てていった
トンッ
そして最後の1本も、見事に命中させた