All Arounder
第26章 Encounter
「おっ、すげ」
大志が嬉しそうにグーを出してきたので、それに向かって井上も拳をコツッと当てた
「これっくらい当然だろーが。んじゃー行くか」
「どこに?」
「この前の話の続きだよ、連絡先も教えねーで先に帰りやがって」
井上が大志の背中をポンポンと叩き、外へ出るよう促した時…
「待てよ」
井上と大志は、高校生たちにグルッと囲まれた
「何だよ、もう大志に用はねーだろ」
「そうはいくか…このままじゃこっちの腹の虫が収まらないんだよ」
パキパキと指を鳴らし、近づいてくる
「悪人の考えることってワンパターンじゃねーか…
約束破って集団行動」
「だから女に愛想尽かされんだよ」
大志の言葉に井上は微笑する
「違いねーな」
「井上、打撃戦は得意か?」
「嫌いじゃねーよ?」
「クスッ、なるほどな」
高校生たちは一斉に襲い掛かってきた
「たくさん倒した方が勝ちな」
「おもしれー、乗った」
大志と井上は、お互いに笑った
─────
「───よっしゃ、オレ12人だ。井上の負けぇ」
大志は切れた唇から出た血を舐めとった
「けっ…まあ俺の専門はあくまで飛び道具だからなー」
井上は倒れた一人を踏ん付けながら起き上がる
「はあ?負け惜しみかよ」
「何ならダーツで勝負すっか?」
ふと目が合うと、また口元が持ち上がった