All Arounder
第26章 Encounter
「くくくっ、井上、顔ボロボロじゃねぇか」
「人のこと言えねーだろ、お前の方がよっぽどひでーよ」
大志と井上は肩を担ぎ合いながら建物から出てきた
どこへ向かうでもなく、その辺を歩き回っていると
大志が口を開いた
「"洗うんだー"だっけ?」
「All Arounderな」
「そうそう、それ。
やってやってもいいぞ」
井上はパッと大志の顔を見た
「ほんとか!?」
「おう、何かと飽きてきたし、お前面白いしな」
大志のほほ笑んだ顔に、思わず歓喜の涙が滲み出る
「た…大志ぃいい~!!」
ついついガバッと飛びついてしまった
「うっわ、抱き着くんじゃねぇよ!!」
「いや、なんか嬉しすぎて…!!もう離さねーからなー!!」
「離せ」
マジになって大志が睨んできたので、井上は渋々大志から離れた
「…んじゃー、これから酒場に案内してやるよ。
マスターっつー気のいいオッサンがいんだ」
「何じゃそりゃ、酒出してくれんのか?」
「さあなー…とりあえずついて来い、
All Arounder2号」
「誰が2号だ」
夜の街は明るかった
そんないつもより一段と明るい街は、こっちの気持ちまで照らしてくれた
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