All Arounder
第32章 Go Mad
「お前の目…優しくなった…」
「は?」
井上は大志の目をじっと見た
「何見つめてんだよ、気色悪ぃ…」
「つまんねーよ」
「はあ?」
また井上は、車を車線に戻した
「おい、何が言いてぇんだよ…?」
「…」
それからは一言も喋らずに、酒場へと着いた
――――
「医者に連れてった方がいい」
大志はマスターに断言した
「何で?」
「井上の奴、絶対頭打ってる。昨日すんげぇ見つめられた」
「退斗もついにホモ化したかー」
マスターは食器を洗いながら、冗談混じりで言った
「冗談で済むような状態じゃねぇかもしれねぇだろ…」
『…ホモって何?』
「…」
「…」
――――――――――
ある日のことだった
その日はAll Arounderは休みで、家でゆっくりしていた
『あ、そういえばシャンプー切れてた』
姫は思い出したように手を叩いた
「そういやぁ最近、生活用品買いに行ってねぇな」
『よし、じゃんけんしよ、負けたらお使いね
退斗も入って』
「わかってるって…」
三人は手を出した
『じゃーんけーん、ほい』