All Arounder
第32章 Go Mad
ヌルヌルとした感触に、姫の手は宙をさ迷う
井上の服を掴むと、思い切り押し離した
『やめて…!!///』
「何?
キスもまだだった?」
『退斗、どうしちゃったの!?』
「じゃーさぁ、俺が姫ちゃんもらっていいかなー?」
話が噛み合っていなかった
まず、井上が姫の言葉に耳を傾けようとしない
『退…っん///』
また口を塞がれる
ちゅぱ
「…好き…///」
井上はギュッと姫を抱きしめた
『…///』
「こんな気持ち初めてで…、俺ほんとに…どうしたらいいか、わかんねー///」
温かかった
井上の手から伝わる熱は、体中にじんわりと広がっていく
「でもな、姫ちゃん…」
井上は顔を離すと、姫を見た
「俺から…大志を取んな」
『!?…退斗、何言って…あっ』
姫はその場に押し倒され、上から井上が被さった
井上は首筋に吸い付きながら口を開く
「姫ちゃんが来てから…大志は変わっちまった…」
『やっ…んあっ///』
「いつも優しい顔してんのは、結構だ…むしろそのままでいい…けど」
舌は、姫の顎から唇を舐め上げた
「あいつ…
愉しそうな目をしなくなった…」